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【書評】ツイッターで学んだいちばん大切なこと――共同創業者の「つぶやき」 ビズ・ストーン

公開日: : プロの仕事術, 書籍

2016-07-11 16-06-43

暴露話も、成功本も、どの視点から語るかでだいぶ印象がことなるものです。Twitterを作り上げたのは、エヴァン・ウィリアムズ、ビズ・ストーン、ジャック・ドーシー、3人なのはよく知られているけれど、ビズ・ストーンを主役に見た裏話はなかなか興味深いですね。Twitter社の内紛や代表者の交代劇は、どこからでも入手できる情報(ゴシップ)ですが、この本は、Twitterの成功の理由・根幹がもっとも明らかに分かるという意味で面白い本です。

ツイッターで学んだいちばん大切なこと――共同創業者の「つぶやき」

もちろん、ビズ・ストーンだけではなく、複数の人が関わってできあがってきたひとつのウェブサービス、その成り立ちさえ、Twitterそのもののように、自然に、偶発的に、気がつくと巨大に「拡散」してきたといえるのかもしれませんね。
コンテンツメーカーとして、私が学べた点、読んでいて刺さった部分などをご紹介します。

Twitterが生まれるまでのいきさつ

最初のスタートアップである「ザンガ」は失敗し、負債を抱えていたようですが、彼は一度や二度の失敗でくじけるようなタイプではないわけです。彼は、実家の地下室を事務所に「ジーニアスラボ」という会社を作り、ブログでは成功者を装いながらフォロワーを増やしていきます。普通は、この辺で、本来の自分との剥離が大きくなり苦しくなったりするものだけれど、彼の場合は、現実がブログに引きづられて大きく変わっていくことになります。

その頃、ブロガー(現在はグーグルに買収されたブログサービス)の運営者、エヴァンと知り合い、彼は積極的なコンタクトをとり、結局、グーグルに雇われるところまで上り詰めます。一貫して、コミュニケーション能力・ソーシャルスキルが高いのが、ビズ・ストーンの強みです。自伝的な本書を読むと、破天荒な性格でもあるようです。 その後、エヴァンがグーグルを退社し、オデオというポッドキャストのようなウェブサービスを始める会社を立ち上げるわけですが、ビズもそのスタートアップに加わります。

熱意を感じられなければ、先へは進めないのだオデオが軌道に乗り始めたある日の出来事を、ビズ・ストーンはこう語っています。

「君が描いた構想を実行にうつせば、俺達はポットキャスティング王になれる」ポットキャスティング王、のところに力を込めて、僕は言った。「おお、そんなによかったか?」エヴァンは嬉しそうだった。「うん。でも、1つ聞きたいことがある」僕は言った。「なんだ?」「エヴァンはポットキャスティング王になりたいか?」僕はそう尋ねた。自分自身にもずっとなげかけていた疑問だった。エヴァンはウイスキーを1口飲み、グラス置くと、笑って言った。「いや、ポットキャスティング王になりたいとは全く思っていない」「俺もなんだ」僕は言った。自分たちが今言ったことの重みを、僕はわかっていた。自分たち自身が熱意を持てない事を、どうしてできるだろう?同時に、もやもやしていた気持ちをはっきりさせたことで、僕には高揚感もあった。そう、熱意を感じられなければ、先へは進めないのだ。(P65-66)

このタイミングで決断をしていなければ、Twitterは生まれなかったのだと思うと興味深い一シーンです。 誰にとっても「最終的に、どうなりたいのか?」これは忘れてはならない視点ではないかと思います。一生懸命に成功に向かってひた走っていても、気がつくと、ゴールは自分の思うところとは大きく異なってしまう。そんなことは、ありふれています。とくにビジネスには。

ただ、ビズにとっては、それは許容できることではなかったのです。その点、自分に正直であった。(後にはっきりしますが、アップルがポッドキャスト事業に大きく乗り出すタイミングでもあったため、そのままオデオを続けてもおそらく撤退に追い込まれていたでしょう。だからこそ「熱意」につき動かされたビズの決定には、野生の直感のようなものがあるのではないかと思えます)

多くの投資を受けていた「オデオ」は、たいへん不安定な状態におかれます。しかし、ここに学べる点があります。この不安定さがなければ、今、世界を動かすほどの成長を遂げた「Twitter」は生まれなかったわけです。物事が動く時とか、人生の転機になるときとか、新しいものを生み出すときってのは「安定期」というより「不安定」なものだと思っておくと良いかもしれませんね。だとすると、今、私の周りでも、何かが生まれようとしているのかもしれない!(グラグラッですよ!)築いては壊し、築いては壊し、ここに新しいスタートを切る余地が生まれる、ってことなんでしょうか。

私も熱意に正直でありたい実際、Twitterはこれからも多くの試練に見舞われるわけですが、この「熱意」がなければ、それを突破することはできなかったでしょう。どんな仕事にも、苦しい局面がありますが、それでも続けられるかどうかは「熱意」があるかどうかにかかっています。だからこそ、自分の「熱意」を無視せず、ある意味では自分に正直に進路を定める必要があることを学べます。また、そうでない仕事(儲かるかも、流行しているから)を手がけないように心がけたいですね(現実はキビシーのだが・・・)

私も本当に「熱」をこめて携われる仕事を今できているか、自問させられました。まあ、生きていかねばなりませんので、甘いことは言っていられませんが、この辺の葛藤を常に感じますよね。

Twitterは楽しかった

Twitterには不思議な魅力があります。一言で言うと「楽しさ」です。ほかのSNSにはなかったような、「楽しさ」があり、いろいろなSNSが台頭してくるなかでも、Twitterは独自の何かがあります。ビズ自身、Twitterがまだ黎明期の頃に、このスタートアップの成功を確信した、出来事を述べています。

「この、ポットキャスティングでは感じたことのないわくわくするような気持ちは、Twitterを作ってる間ずっと僕の中にあったが、中でもいちばん鮮明に覚えてる一日がある。・・・(自分が仕事中に休暇中のエヴァンのツィートを見て)今の自分とエヴァンの状況があまりに違っていて、ぼくは思わず笑い出してしまった。・・この時、僕はただおかしくて笑っただけではなかった。気がついたのだ。これまでのスタートアップが失敗して、Twitterが軌道に乗ろうとしてる理由に。Twitterは楽しかった。・・・この日のことが特に記憶に残っているのは、この時、思い入れを持つことの重要性に気づいたからだ。心の中で、これはやってみたいと思ってることがあるとする。どうしてなのか、はっきりわからなくても構わない。うまくいくと保証はできないが、心からこれにかけたいという思い入れがなければ、失敗に終わるのは確実だ。この思い入れが、難しい挑戦をやり抜くために欠かせない要素になる。(P83-84)

まだまだ、現実的にはTwitterは過小評価されている時期だったのですが、この時点で、ビズには確信が芽生えています。そのサービスの持つ「楽しさ」に気がついたわけです。自分が関わっているサービスだと、ユーザー目線でどうか?を考えてしまうものですが、自分自身がユーザとして楽しめていること、ここに勝機があったわけです。

「熱意」と共に必要な「楽しさ」、これは仕事を成功させるのに欠かせない観点ではないかと思えます。結局のところ、面白くないこと、楽しくないことは続きません。作り手の自分が楽しいと思えること、同時にユーザーとしての自分が楽しいと思えることを追求しなくてはならないということです。

私の場合、コンテンツメーカーとなのり、ネット自営業をがんばっているわけですが、どうも「アフィリエイター」にはなれなかったのは、「楽しくなかった」からです。スポンサーのために、ひ~こらひ~こら記事を書きたくなかったのです。生意気ですかね。
この「楽しくなさ」が、私だけではなく、閲覧者にも明らかに伝わっていました。だから、ど~も成果があがらなかった。スポンサーがいるかどうかではなく、「楽しさ」に着眼したのは私もビズと同じです。ただ、時々、迷うわけです。やっぱ、そんなこと言ってもな~、成果を基準に考えないとな~って。

だからこそ、迷わないように心を強くしたいです(ビズは「熱意」と「楽しさ」を貫いて、何度も莫大の借金を抱えています、それが良いのか悪いのかは別として・・・w)

まとめ

Twitterがここまで大きなサービスに成長した理由は、一言では言えないほど、たくさんの要素が関わっているわけですが、その根幹には「熱意」と「楽しさ」があったのだと私は読みます。今は、ビズも、Twitterを辞めているわけですが、今でもTwitterは元気です。私はウェブサービスを作り出そうと思ってはいないのですが、末永く残るコンテンツをひとつでも多く作り続けていきたいと思っています。

そんなことを、Twitterのスタートアップ成功談から学びましたよ!翻訳は平易でたいへんよみやすく、ビズの茶目っ気とか、時折、顔を見せる自分の思いを貫く強い心を学べます。おすすめの本です。


ツイッターで学んだいちばん大切なこと――共同創業者の「つぶやき」

ビズストーンの肉声をどうぞ!

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