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自分の仕事に誇りを持っているか、向き合っているか、正面から。

公開日: : プロの仕事術

自分の仕事に本当に誇りを持っているか、時折、しっかり考えなければなりません。社会に認められないことを、イジイジといつまでも考えていたりするものの、その実、自分がいちばん、自分の仕事を認めていないということはありえることです。「納棺夫日記」にそのことを学びました。私もそうかもしれない。認めるのは嫌なことだけどね。この本を読んで自問させられました。

本当に自分と、自分の仕事に向き合っているか!ってね。


鏡で遊ぶ赤ちゃん / yto

自分の仕事に正面から向き合う

「心が変われば、行動が変わる。早速、医療機械店へ出向いて、外科の医師が用いる手術用の衣服やマスクや薄いゴム手袋などを買ってきた。服装を整え、礼儀礼節にも心がけ、自信を持って堂々と真摯な態度で納棺をするようにつとめた。納棺夫に徹したのであった。すると途端に周囲の見方が変わってきた。」(P31)

「仕事柄、火葬場の人や葬儀屋や僧侶たちと会っているうちに、彼らに致命的な問題があることに気づいた。死というものと常に向かい合っていながら、死から目をそらして仕事をしているのである。

自分の職業を卑下し、携わっているそのことに劣等感を抱きながら、金だけにこだわる姿勢からは、職業の社会的地位など望むべきもない。それでいて、社会から白い目で見られることを社会の所為にし、社会を恨んだりしている。己の携わっている仕事の本質から目をそらして、その仕事が成ったり、人から信頼される職業となるはずがない。

嫌な仕事だが金になるから、という発想が原点である限り、どのような仕事であれ世間から軽蔑され続けるであろう。」(P32-33)

著者の青木さんは、納棺夫を始めた頃、どうしてもこの仕事の社会的地位の低さにコンプレックスを感じていました。奥さんの身体を求めたときに「穢らわしい!」と言われたエピソードなどは有名です。友人たちも彼の元を去り、親族からも絶縁されたと言います。死者に向き合う仕事は、偏見や差別の対象となります。

しかし、何よりも、青木さん自身が、自分の仕事を卑下しているのではないか、あるときに、そんなことに気付き始めます。「心が変われば行動が変わり」ます。医師の服装を身につけてから、湯灌をしている最中に「青木さんはどこの医学部を出ているのですか」と聞かれます。あるおばあちゃんには「先生」と呼ばれ、「自分の死んだ後は先生にやってもらえるか、予約できるか」と尋ねられます。

本当に誇りを持って仕事をしている人に、人は惹きつけられます。なかなか、人に認められない。認めてくれない、その心は、実際には、自分が自分の仕事を正面から認めていないのかもしれない、と思いました。


鏡で遊ぶあかちゃん / yto

お金以上の価値観が必要

青木さんは、湯灌をしながら、死体と向き合い、だんだんと死生観に関する自分の考え方を構築していきます。もはや、彼にとって仕事は、お金を稼ぐだけのものではない、もっと深遠な意味を持つライフワークになっていくのです。単に稼げるから、めったに経験しない仕事だから、そういう理由だけでは青木さんのこの本が、陽の目を見ることはなかったはずです。

そこにやはり、仕事と本音で向き合い、自分自身が誇りを感じている人の姿が見えるからこそ、引きつけられる人が多くなり、ベストセラーに成ったのでしょう。私は、死んでも納棺夫はしませんが(偏見ではなく、腐乱死体が怖いから)、どんな仕事にせよ、仕事と向き合う青木さんの姿には無条件で学んでしまったのでした。

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